2018.11.15キャンプ料理の初心者 コツと心構え

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焼いただけの鶏と野菜にマスタードとキャベツを添えると

キャンプに行くと、普段料理をしたがらない人も、手を出したくなる様です。身に覚えのある方も多いと思います。いえいえ、画面に頷いているあなただけじゃあありませんよ?あなたの背後で腕組みして頷いている人も納得しています。

さて、後ろの方のチョット不機嫌な「ウンウン」の理由。多分知って居ますよね。そう!片付けない!楽しそうな所だけやって、面倒そうな所は人任せ。洗ってはくれるけど、いい加減で二度手間。まあ大体そんな感じです。ま、自分のズルさを自覚して、早急に治してしまいましょう。え?テクニック?そんなもんある訳が有りません。四の五の言わずにやりゃあいいんです。不機嫌にやったら逆効果です。鼻歌混じりに楽しくやりましょう。

「料理がしたい。やるからには、美味しいやつを作りたい」ですよね。お子さんならともかく、大人同士では、「食べられなくは・・・ない」というレベルで、不味いとは言わないのです。でも、もろもろの別の不満とか、表情とか、箸使いとかで、意外と判るんです。作る側に回ったとたんに見えるんですよ。だから、次こそ見返してやりたい!いえいえ、満面の笑みを見たい。そう思うんです。

では、どうしたら良いでしょう。

愛情一本

まず料理は愛情です。(でたぁーっ!バカだこいつ!)いや本当ですよ?料理ってやつは食べてくれる人有りきです。ソロキャンパーさんオコですか?では、ブログやYoutubeやSNSで発信する訳でも無いのに、それでも凝った料理を作り、綺麗に盛り付けたりするでしょうか?いや、私自身時々はありますよ?でも毎回じゃあない。稀です。ところが食べる人が自分以外に居る場合は、毎回なんですよ。逆に今日は疲れちゃったからラーメンで許してと言う方が稀なのです。1人でいつも凝った綺麗な料理を作る人が居たら。それはちょっと憧れます。自分の行動理由を他人に求めないなんて生き方は、やろうとしてもそうそう続く物ではありません。すごいです。

話しを戻して「自分が作りたい料理と相手が食べられない料理が同じ」これじゃあどうしようもないのです。私の連れは、バナナと納豆と里芋が嫌いです。当然料理には入れません。例えば、幾らキャンプ雑誌の表紙に憧れても、自称牛肉嫌いの奥様に、「牛ブロック肉の美味さを教えてやる!」なんてーのは、仮に腕前が一流であっても傲慢と言う物です。食べる人が共通して楽しめる料理を選択する。大事なポイントなのです。この程度の気遣いは、相手に決して気づかれません。多分一生気付かれませんよ。「それでもイイからそうしたい」これは、愛情なしには出来ない気遣いです。ね?料理は愛情でしょ?

ゴングが鳴った時にはとっくに料理は始まっている

あれれ?料理がメニュー選びから始まっているって事に、今気が付いた人もいますかっ!?気が付いてよかった。ついでに言うと、次に使う時の為に最良の形の収納をするまででワンセットですからね。これだって一朝一夕にはできませんよ。普段鍋がどこに、どの順で重ねられて収納されているのか、把握していますか?気になって台所の扉をバタバタやるのが目に見えるようです。それが自宅シェフにとってのBESTな配置です。そうそう!いいですね。スマホに残しておきましょう。

※普段料理をしない人、上の見出し二つ分は大事な所なので読み返して下さい。一度目には読み取れなかったもう一つのメッセージが見えると思います。そうしたら自宅シェフに、自然と感謝の気持ちを持った事でしょう。同時に、あなたの嫌いな食材が食卓に並んだ夜は、シェフはあなたにご立腹だと思ってください。そんな時はどうしたら怒りが収まるか?それは、専門外です。でも多分、分厚い高級肉を焼くように、慎重に時間を掛けて怒りの炎に向き合う他ないと思いますよ。(うまいこと言った!)

キャンプ料理は道具で選ぶ

判りやすい例で言えば、カセットコンロと家にある鍋でピザは焼けないのです。いや、似たような事を紹介している人は居ますので、「ピザ フライパン」と、クックパッドで検索してくれるならチャレンジするのもありです。とはいえ、失敗しにくい料理と道具の組み合わせと言うのがあって、それをより忠実になぞる事こそが、美味しい料理への近道です。料理に合わせて調理器具をいくらでも買えると言うのであれば、道具の方を合わせても構いません。が、普段料理しない人が料理器具を増やしても、お連れ様の評価は下がる一方かも知れませんよ?先ずは既存の道具で何回かの満足の行く料理を提供出来てからにするのが安全策です。よって今ある道具で作れる料理から選ぶのが初心者へのオススメです。

調理器具の選択肢が多い

「家庭用調理器具を持ちだすのだ!」と決めると家庭によっては選択肢が相当広がります。その場合は、次のように絞り込んでください。

・鉄板/フライパン類ならば、持ち運びやすいサイズで厚手の物を

・鍋類ならば、浅広よりは、深くて小振りの物を

・持ち手は、熱に強い物を 取り外せれば尚よい

理由は上から「全体が均一の温まりやすく、温度の上下が穏やか」「煮詰まりにくく焦がしにくい」「柄が燃えたり変形するのを避ける」です。

シンプル最高

料理初心者には調理工程、調味料は、シンプルな物がBESTです。複雑な物は、ちょっとした失敗で、修復不可能になりやすいのです。特に普段料理をしない人の場合、勘に頼る事が出来ません。というか、勘が全く頼りになりません。しかも、知識が少ない分、頼れない勘を思う存分振り回して、被害の度合いを深刻にする傾向にあります(経験則です)。そこで、工程か調味料のどちらか一方だけでもシンプルな物にして下さい。例えば、網焼き(シンプル)+バルサミコソース(手作り初体験)これなら、たとえソースが失敗しても、一から作り直せるし、代わりにレモン汁と塩で食べても美味しく食べられます。お好み焼き(炭火では初体験)+市販のソースとマヨネーズ。これならば、多少具の取り合わせが悪かろうが、火の通りにムラが有ろうが、美味しく胃袋に入ります。逆に、パエリア(料理自体初挑戦+勿論炭でも)となると、一気にリカバリが難しくなります。特に主食とメインディッシュは、シンプルにして置く事をおすすめします。

炎にじかに触れない

私自身そうだったので、多分料理を始めたばかりの人は信じていると思います。「強火最高」「だって早いし」半分正解、半分不正解です。カツヲのたたきを思い浮かべて下さい。表面皮一枚が焦げて、中は生。正解です。これを肉でやったら・・・ローストビーフですか??似ているけどただの丸焦げ生肉です。(ローストビーフは中心温度55~60度を目安にしますが、あなたの肉は恐らく20度以下です)オーブン料理レシピで良く出て来る温度は180度と200度。天麩羅も野菜160度、肉魚170~180度。茹でるなら最大95度(沸騰した湯、意外と100度ありません)。一方、木の着火温度は250度、燃焼温度はそれ以上です。既に多くの料理に適した温度帯を上回って居ます。なるほど、焦げるだけで生焼けなわけです。よって焚火で料理をする際は、炎にじかに触れない様にします。

ゆっくり料理する

とはいえ、あまり時間を掛けて料理すれば、食材表面から水分が逃げるだけで、やっぱり焼けません。手をかざして5秒我慢するのが限界くらいの火の距離が焼き物には適しています。それより近いと焦げやすいです。それより遠い分には、焼き時間を長くすれば良いですし、この場合表面が焦げすぎる事は無いので、焼き直しが可能です。そもそも薪の遠赤外線効果がしっかり作用しますので、意外と中まで火が通ります。炭であれば、炭火焼肉を思い出して貰えればある程度想像できます。脂が落ちれば炎が上がるのはご存知の通り、大きな炎が出たら恐らく肉を逃がすでしょう。それでイイです。炭火焼肉の経験が無ければ、キャンプより先に焼肉屋に行く事をオススメします。肉・魚介・野菜の順に右に行くほど炭から離して置くのよいと分かると思います。

煮物であれば、グラグラと煮立ってくるまでは、炎のの近くでも構いません。煮立ったら、少し距離を取ってコトコトと具材が小さく揺れる程度まで距離を取ります。これは、想定以上に煮詰まる事と、荷崩れの両方を防ぎます。鍋が大きい程熱源に近い箇所と遠い箇所の温度差が出来ます。時々向きを変えると均一に火が通ります。炭でも真っ赤な炭が集まった部分を炎と置き換えれば同じです。

家庭用コンロがいかに効率よく作られているかという事が判りますね。薪・炭料理の効率の悪い分は手間と時間を掛けて補いましょう。

欲張らない

この辺で一旦終わりです。というのも、一度に詰め込んでも出来ないのです。少なくとも私が初めての事に向かい合うなら、この時点でアップアップです。キャンプ場でシェフデビューする皆さんも、「今回は、6品全てオレに任せてくれ!」などと、欲張らす。「一品、作ってみたい料理が有るんだ」位からスタートしてください。

そうそう言い忘れていました。初めて料理をする人を隣で見つめると言うのは、自分でやるよりずっと疲れるし慌ただしい物なのです。微笑ましい反面ハードなのです。「料理してやんよ」という気持ちが表に漏れると、株がダダ下がります。厳重に包んで押入れの奥深くにでも隠して家に置いて来て下さいね。

蛇足

恐らく多くの人は無自覚です。「キャンプで料理をしてみたい」の本質は「喜ばせたい」だと思います。初めての事だらけで上手く行かないもどかしさの中で、それを忘れて大喧嘩をするそんなカップルやグループを見る事が有ります。それは、喜ぶとは反対の感情を生みます。上手く行かないなあと思ったら、早めに料理名人に救援を求めて下さい。見守る側と言うのは、口で言う程頼られる事を嫌いません。手取り足取りラブラブ作るのもまた楽しい時間なのです。喜ばせたとは微妙にニュアンスが違っても「楽しかった」で締めくくれると思います。それはリトライさせて貰うための大事な布石でもあるのです。