2020.12.25 空焚き厳禁 野燗炉修理

2020.12.25 空焚き厳禁 野燗炉修理

野燗炉を持っている人の中には、既に同じ苦悩をされた方もいると思います。野燗炉というのは、大抵の場合中古品。そして大概、江戸から昭和初期の物。そりゃあ水漏れだってするのです。しかしながら多くの場合製造元も型番も無く、勿論修理だって受け付けてくれる所が殆どないのです。

そもそもの原因。

それは、野燗炉を使用した後、錆が怖くてガスコンロで炙って乾燥させようとした処から始まりました。

なにやら継ぎ目からジブジブと言い始めたのです。

この時点で気が付けばよかったのですが、銅の板を継いで作られたこの道具、溶接ではなくロウ付けという手法で部材同士が引っ付けられています。このロウの品質。現在の銀ロウならばJIS規格により620度~800で溶ける事になっています。古い物でも純度の高い物ならば715~920度で溶ける今より優れた物も有った様なのですが・・・私の入手した野燗炉は、どうやら融点の低いロウが使われていたようなのです。つまり接着剤が溶け出してしまったという事です。

結果、わずかながら水が漏る様になりました。

対処の悪さ

さらに悪いことに、持ち前の冒険心で、「自分で直せるんじゃね?」と、ネット上で色々検索・・・。そして事態は、刻一刻と深刻になって行ったのです。

まず、ロウ付け用の銀ロウが近くのホームセンター・金物屋で見つかりませんでした。水道管やガス管の工事にも使われる銅ロウも探しましたが、こちらも見つかりません。そこで一旦諦めればよかったのですが、鉛を含まないハンダ(銀・銅・錫の合金)を見つけ、「これなら健康被害はなかっぺ!」と、購入。フラックスというロウ付けやハンダ付けの促進剤も購入しました。

野燗炉を綺麗に洗浄し、アルコールで油分を落とし、フラックスを塗り、いざハンダ付け。全然くっつきません。どうやら銅板が熱伝導率の高さをいかんなく発揮して、ハンダとの温度差が大きすぎて弾いてしまう様です。

ダメ押し

ここでまた、よせばいいのにガスバーナーを導入しました。野燗炉の銅板をハンダごと温めてしまおうと思ったのです。しかしながら、コレが益々事態を悪化させます。そう!ご想像通り!正常に機能していたロウ付けまで次々に溶かしてしまい、結果、「うっすら水漏れ」から「ちゃーちゃー水漏れ」に・・・。

もう、諦めて、修理見積して貰おうかしらととも思ったのですが、そもそも破格の安値で古道具屋から購入した手前、修理費用が怖くて怖くて物おじ。

もう一回、もう一回と収拾のつかない程に繰り返し、ついに・・・芸術的なかっこ悪さの野燗炉が完成。水漏れは収まったのでした。

これから野燗炉を落札しようとお考えの皆様。すでにお持ちの皆様。くれぐれも、空焚きはしないようにご注意ください。

何故か!

折角の恰好良いアイテムを、人様に自慢できない姿に変えるからです!

写真を見せろ? ムリムリムリムリっ!