2018.11.20キャンプ場のトイレを見ていて思った事

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トイレの事を考えていたら 妹尾河童さんの「河童が覗いた」シリーズを思い出した

実際に言ったキャンプ場と様々なキャンプ場のレビューを見ていて思ったのが、トイレって大事だなという事。今回はキャンプ場だけじゃないトイレの話です。

日本のトイレは無料である

施設利用料や、売上、テナント料などどこかしらに含まれているのであろうけれど、公園・駅・役所・コンビニ・デパート・飲食店などトイレの設置義務の有無も関係してか、現代日本には本当に沢山のトイレが有ります。そして、それらは利用者には大変便利である反面、経営者には悩みの種です。電気・上下水道・紙・清掃用具・清掃洗剤・エアコン・補修費用・維持管理の人件費・場合によっては浄化槽の設置維持費用や汲み取り費用まで掛かります。これらは、目に見えにくいながら売り上げに貢献しているであろうと思われるし、綺麗なほどその貢献度は上がると、経営者は直感して居ます。しかし・・・なにせ数字化できない。出来るのは出費の方だけなのです。JRで昔、コイントイレを導入した物の、上手く軌道に乗らなかったようで、現在では見かけなくなりました。結果現在日本のトイレはほぼ無料なのです。

感謝するのが難しい

「ふうっ!危なかった」便意と言うのは、唐突にやって来て危機的状態になるまでのアプローチが急です。誰しも近くのトイレに救われた経験をお持ちでしょう。しかしながら、この救世主に対して手を合わせたり、賽銭を置いて行ったりする人は殆どいないと思います。例えば、たまたま子供がもよおし、その近所にお友達の家が有り、トイレを借りたらそのお母さんに感謝を述べるでしょう。ところが、飲食店やデパートでは、誰に感謝を述べるべきかを悩む事すらしません。それどころか、「混んでいた。トイレが足りないんじゃないか」とか、「紙が無かった。補充はどうなっているんだ」とか、「清掃が行き届いて居ない」といった苦情に関しては、わざわざ手近かな従業員を探して言いに行ったりするのです。本当に、クレームを言いやすく感謝をしづらい場所なのです。

汚れやすいトイレには法則は無いか

混雑に関しては、ピークの傾向を読み、平均利用者数と比べ、収益とのバランスの中で経営者様が判断していると思います。無料である以上これに文句を言うのは我が儘であると誰もがうっすら気が付いて居る事でしょう。紙に関しては、ロールごと盗んでゆく人が居る事も、張り紙などから伺えます。予備の紙を積んでおくと盗まれる。こまめに補充しているが、トイレが詰まるほど利用する人も後を絶たない。ウォシュレット導入で多少軽減されたが、無くなるには至らない。というのが実態です。しかし汚れに関してだけは、言われてみれば誰でもわかる法則があると気が付きました。

土足で入るトイレは、汚れやすい。

和式トイレは、汚されやすい。

この二つです。

トイレの床材

後者は既に多くのトイレで気が付き、ブースの形状などのいかんともしがたい理由を除いて、対応が進んでいます。前者はほとんど気が付いても居ない様です。「え?学校のトイレとか上履きだけど綺麗とは言えなかったよ?」そこです。土足かどうかだけではなく、土足でも抵抗が無い床材のトイレかどうか、も肝心なのだと思います。もうちょっと推論を重ねてみましょう。土足で利用されるにも関わらず、綺麗な印象のあるトイレとして、コンビニやパチンコ店、大型ショッピングモールのトイレが有ります。わけても綺麗な場所を想像すると、床材がタイルやコンクリートの打ち出しと言うトイレは有りません。継ぎ目が少なく、凹凸の無いフロアシートです。

床材に起因する掃除方法の違い

床材自体が臭いや汚れを蓄積しやすいかどうかについては、今回触れません。着目したのは、清掃方法です。タイルやコンクリの打ち出しの場合、多くはモップやデッキブラシによる洗浄です。床を濡らし、場合によっては水を撒き清掃する事になります。そしてそれらは臭いの原因になる菌を薄めてくれますが、同時に伸ばしてなすり付けて行きます。目に見える汚れが取れても、臭いのもたらすイメージは「汚い」のままなのです。一方フロアシートでは、お掃除シートや雑巾での掃除となります。雑巾なら同じような物だろうと思われるでしょうが、使用後の洗浄・殺菌においてモップより容易で、より強く絞れるため都度乾燥させることが可能です。それ以前に掃除に関わる人間の心理的に、清掃機具を綺麗に保ちやすいし、床や便器などの汚れに目が届きやすいのです。

水洗トイレの構造を逆手に

水洗トイレは、高低差を使って水と一緒に流すトイレです。仮設で有れ新幹線で有れ、一段高くなっているので判ると思います。折角一段高くするのですから、靴を脱いで一段上の板の間に一度立たせてから、ドアを開ける構造にしてしまうと言う提案したいと思います。

よそのお宅のトイレは汚せない。という心理の中に、「顔見知りの家で恥ずかしい事は出来ない」というのと同時に、「裸足で利用するトイレを汚すのには抵抗が有る」というのが隠れていると考えています。掃除にしてもそうです。靴を履いてする掃除と、裸足でする掃除。靴を履いたまま膝をついて掃除をすると言うのは抵抗が有っても、裸足になると大分抵抗が薄らぐのです。板の間を作ると建物の構造が大きくなり、場合によっては住居と同じ税金を課せられる構造物になって仕舞うかもしれませんが、既にその大きさに達しているならば、「トイレが汚い」という苦情とサヨナラ出来るチャンスだと思うのです。

おまたせしました

キャンパーの皆さん、お待たせしました。トイレを持つ施設経営者への提案は、皆様への遠回しなメッセージを含んでおりますよ。自分の汚して仕舞がちなトイレが判るだけではありません。テントサイトに居る時、椅子から降りて地面に座って見て下さい。何人かの方は、抵抗を感じたと思います。キャンプ場には、自分のテントサイトに野菜の茹で汁を捨てる人が居ますよ。その人たちの多くは、「今日のキャンプは、椅子を仕舞って、地面を感じて貰います」と言った途端に、茹で汁を洗い場まで捨てに行くと思います。これはほんの一例ですよ。想像力をフル稼働して見て下さい。さあ、皆さんの次のキャンプは、何か変わりそうですか?

最後に、「トイレが汚い」の一番の原因は、誰が何と言おうと、最初に汚した人が、綺麗にしてゆかないからです。誰かが汚したトイレをを綺麗にしてゆくのはとてもハードルが高いのです。これは洗い場も、シャワーも、テントサイトも、ゴミ捨て場も全てそうです。自分には知らん顔する癖が有るなあと思ったら、これを機に変わりましょう。私と一緒に。

 ~編集後記~

綺麗で最新式のトイレは素晴らしいです。日本のトイレの水準と、日本人のトイレに対する期待値は、世界一なんじゃないかと思います。しかしおかしなもので、衛生的でさえあれば、古い不便なトイレもなんだか懐かしいのです。多分歳を取ったせいだと思います。消防法的にアウトな他人の家を、無くすのはおしいと有形文化財にするとか、そういう感じなのでしょうか。幾ら懐かしくても、進んで利用しやしないのにね。